TRPGをした話3
TRPG前回までのあらすじ
高層ショッピングモールの屋上に不時着した原大和と青田葵。二人は協力してここを脱出し、エリア86を目指そうとする。5階で服を着替えサーフボードを手に入れ、4階でペンチと方位磁石を手に入れた二人は、迫り来る水から逃げるように6階の電気屋フロアに移動した。
ホビーマウンテン見取り図
10階 屋上
9階 映画館
8階 レストラン
7階 家具屋
6階 電気屋
5階 スポーツ・レジャー
4階 本屋・CDショップ・文房具
3,2,1階 浸水
現在の浸水度
4階が完全水没
セッション中の会話は発言者の名前を色わけしてあります。
注釈が入ってるところは用語の説明か私の一言コメントです。
※ ※ ※
(一同、6階に移動)
青田:青田はとりあえず、疲弊し肩で息をする原さんの応急手当てをしますね
――じゃあ手当ロールですね
(青田、手当40でロール)(同時に水面上昇が起こり、5階が半分水に沈んだ)
青田:16成功! 回復量は1D5で……3!
原:2減少して3回復www
――美女効果で原さんのHP、8→11ですね
青田:患者が元気になってよかった(美談)*1
原:電気屋……衛星電話か通信機器があるか幸運ロールしてもいいですか? ロケット打ち上げ本部みたいなところに連絡を取ろうとすると思うんです、原は社会人だから
――よろしい しかし電波が届くかどうか(移住が進んでいるのでエリア86の外には電波が届かない可能性がある)も同時に占うので、幸運の半分でロールどうぞ
原:わあ……(白目)
(原、幸運1/2=30でロール)
原:20で成功ですね
――電話があるし電話が通じますね*2
原:では、移住計画実行委員会的なところに電話をかけて、現状と現在位置を報告します。その上で、救援を要請します。
青田:私はその間に目星で適当にアタリつけても?
――いいですよ
(青田、目星45でロール)
青田:! 6で成功、クリティカルですねえ(どや……)*3
――は? おいまたか?
――ではまず原さんの電話について。電話で相手に状況を説明しますね。しかしゲリラ豪雨はエリア86でも発生しているようで、救助にはかなり時間がかかりそうです。相手からは「無人操縦のアレを送ったので、アレが到着するまで持ちこたえてくれ」との返事があります。ここでいうアレとは、GMが名前を忘れましたがあのエンジンが付いた速い船のことです。*5到着するのは十階まで水が来るころ(つまりゲームのリミット)ですね
原:なるほど、じゃあなんとかして気絶しない程度に水から逃れていれば生還エンドか。希望が見えてきた!
――次に青田さんのクリ判定ですね。現在地、6階の説明をします。……一般的な電気屋ですね。カメラ、パソコン、携帯、ゲーム、その他家電もろもろ、があります。加えて隅の方には楽器も置いてあります。電子ピアノとかね。電気系ならわりと何でも置いてあるっぽく、電池で動くドリルもあります。
原:電動の小型エンジン(船用)とかワンチャンありますか?
――幸運の半分ロールでアリよりのアリ
原:今ならいける気がする!
(原、幸運1/2=30でロール)
原:Oh,88失敗……
青田:オーケー、ここには何もなかった、いいね?
――移動しますか
原:よっしゃよっしゃ。桶代わりになりそうなのはやっぱり家具フロアかな?
(一同、7階に移動)
原:フロアマップを見て、非常用の梯子をさがします。そして、それが空気で膨らませるタイプかどうかを幸運でロールしたいです。*6
青田:じゃあ私は水に浮く椅子推しで……
――原さんのは家具屋にはなさそうなので、青田さん、幸運の半分ロールで有り無し判断ですね
青田:原さん、見ててください…!わたし、今度こそお役に立って見せます。と青田は決心した表情で家具屋フロアを漁ります。
(青田、幸運1/2=33でロール)(同時に水面上昇が起こり、5階が完全に水没)
青田:9……6、ふぁんぶる?
原:ファンブル
――あちゃま。大失敗なので何も見つからないどころか探してるときに躓いて怪我をしますね。ダメージが1D3
原:高い!?*7
(青田、1D3ロール)
青田:3……ヴッッッッ骨が……!!!!!!
――今だ!!!!! やさしく手当するんだ原!!!!!!!*8
原:原は美女にあるまじきうめき声を聞きつけ、急いで駆け寄ります。「青田さん、大丈夫ですか!?」彼女から手当ての道具を受け取り、応急手当(60)します!
(原、応急手当60でロール)
原:80失敗……だからフラれたんだよおめえはよお
青田:(黙って首を横に振る)適当な診断ですが恐らく腕が折れています ウッウッ
(青田、HPが11→8に減少)
原:元彼女一筋だった原は、さっき会ったばかりの美女に触れることすらおっかなびっくり、ロクな手当てもできないのでした……
青田:「い、いいんです、原さん……私が自業自得でした怪我ですから……!」(涙目)と青田は必死に気丈な素振りをしています
原:「ひとまず休んでいてください。ここは僕が見てきますから……!」と言って、原は青田を近くにあったソファに座らせます。
原:これはお姫様抱っこをせねばなるまい(使命感)*9
青田:すみません、と小さな声で言って、青田は目を閉じてぐったりします。(骨折大騒ぎで紛れましたが、浮くものを探さねば…)
原:探索後に次の階移動する時、お姫様抱っこします(宣言) GM,浮力の高い木材を思い出せたか知識、もしダメならさっき手に入れた通信機でネット検索ロールしたいです
――浮力の高い木材、いいですよ
(原が知識90でロール)
原:2のクリティカル!!! 美女から離れたから……? DTメンタル
青田:それはもう美女じゃなく疫病神では
原:リアル知識じゃ無理だったのでググったところ、桐、ヒノキ辺りは浮力が高い(ルアーにも使われる)みたいです。ポプラ、バスウッド、ヒノキならコーティングなしでも耐水性大丈夫、ってとこまでクリティカル恩恵で思い出せたことにしてもいいでしょうか
――いいですよ
原:ではこの3つの素材が家具エリアにあるか、ロールしたいです!
――あいあい。あ、ではここでロールの仕方変えます。ずっと同じじゃ飽きるので
原:ギクッ
――買い物ポイント×4のロールでいこう(ポイントを消費するとロールが難しくなっていく)
原:4倍でも私32……青田さんにも伝えて知識共有、万が一に備えます。
青田:よっしゃ(青ざめた顔)
原:「ポプラ、バスウッド、ヒノキ辺りなら、ここにもあるでしょうか」原はひとり言にしては大きな声で呟きます。平然としたフリをしていても、彼も焦っているのです。まるで自分に大丈夫だと言い聞かせるようなその言葉は、当然青田さんにも届いていました。
(原、買い物ポイント×4=32でロール)
原:34失敗……!
青田:非常に惜しい
――どうします、青田さんも回しときます?
青田:回します。原の独り言を聞いた青田は痛みに耐えながら思います。(原さん…不安なんだ。こんな土壇場でわたしが怪我しちゃうから…当然ですよね…)少し項垂れてから、奥歯を食いしばって前を向きます。(私にも、何かできること…!)
(青田の買い物ポイント×4=40ロール)
原:じゃあ、耐水性の高いテーブルクロス探したいですGM!家具フロアで!
――どうぞ!
青田:がんばって原さん、私の仇を、どうか(どんどん顔面蒼白になる青田)
(原、買い物ポイント×4=32でロール)
原:44失敗
青田:(もうダメだ、の顔文字)
原:はい、じゃあ青田さんをお姫様抱っこして上のフロア移動しましょうか! あ、お姫様抱っこのロールいらないです?
――いらない。なぜなら無条件にお姫様抱っこしてほしいから。
原:アイアイ、マム
青田:今日イチの迷言「いらない。なぜなら無条件にお姫様抱っこしてほしいから。」
――オタクの本音が出てしまった
原:「青田さん、サーフボード持っていてもらえますか? 大丈夫です、絶対落としませんから」と声をかけて、原は青田の膝と脇を腕で支え、持ち上げました。予想以上にこのフロアで時間を取ってしまっています。彼女の怪我も心配ですが、今はまずさきに階を移動すべきだと考えたのです。*11
青田:「分かりました。お任せします。本当に、本当にお力にもなれず、足を引っ張ってしまい、申し訳ありません」青田は俯きます。
原:「……こんなことを言うと不謹慎ですけど、実は少しだけほっとしてるんです」原は敢えて青田に視線をやらず、前を見たまま続けました。
青田:「え?」
原:「実は先日、結婚するつもりでいた恋人に振られてしまったんです。彼女は先に移住ロケットの搭乗券が当たっていましたからね。ぼくと結婚したら、助からないかもしれないじゃないと、はは、言われてしまって」
青田:「それは、」青田は小さく息を呑みましたが、原さんの言葉の続きを待ちます。
原:「運の悪い男なんですよ、昔から。ここぞという時にばかり失敗して……幼馴染だったんです、彼女。だから、流石に愛想をつかされてしまって、以来、なんとなくひとりで」それでいいと思っていたんですけど、と言葉を切って、そこでようやく、原は青田をチラリと見下ろして、眉を下げました。困ったように。ため息を吐くように。
原:「ひとりでここに落ちていたら、多分諦めてました。でも、お嬢さんがいた。こんなぼくでも、いないよりマシくらいには手助けできるんじゃないかって。今は思ってるんです」
青田:「原さん……」青田は原さんの言葉を聞いて、ただ言葉を探すように視線を下げました。それから暫し逡巡してから、「その、」と、小さく言います。脈絡のない話に聞こえるかもしれませんが、と。
青田:「小さい頃から、勉強ばかりしてきて。いつか立派なお医者様になるんだって、そればかりで。わたし、何にも人に自己紹介できる『自分』がないんです。それなのに数年前から地球はこんなことになってしまって、人間はみんないなくなって」
青田:何がしたかったんだろうなぁって、最近考えてしまっていたんです。だから何が言いたいかっていうと、ですね。 そこで青田は一度言葉を切ります。それからはっきりと、原の目を見つめて言います。痛みのせいで顔から血の気が引いていますが、それでも口元は笑っています。 「私だって、あなたがいなかったら諦めていたんですよ。大和さん」
青田:「正直、腕が折れた時にも、もうだめかも、置いていかれたって仕方ない、諦めた方がいいかもって思ったんです。でも今こうやって、……なんだろう。あなたの腕がすごく温いなとか、そんなことばかりを考えている。男の人と抱き合ったこともなかったんです、私。笑っちゃいますよね」
原:その言葉に、原はパカリと口を間抜けに開いて――そのことに自分で気がつくと急いで唇を引き結び、青田から顔を背けました。首筋をじんわりと熱が上がってきます。もう耳の先まで真っ赤だろうと、やけくそのように思いました。
青田:青田は、原さんのその変化を不思議そうに眺めていました。それから小さく笑って、「ね、大和さん」と呼びます。「必ず生きて、エリア86に辿り着きましょうね。そのために私、頑張りますから。あなたが生きて帰れるように、頑張りますから」
原:「……じゃあ、ぼくは君が生きて帰れるように、がんばります」しぼりだすように、小さな声で。それでもその時の原には精一杯の言葉でした。女性経験なんて、この前分かれた彼女ひとりきり。いくらイケメンと言われようが、平均よりも低い身長と一途な性質では、元恋人以外の女性に対して免疫などできているはずもないのです。
原:それでもなんとか言葉を返したのは、年上としての意地と見栄、それからほんの少しだけ芽生え始めた、青田葵の前でみっともない姿を見せたくないという、いじらしい純情からだったのです。
青田:タイムリミットまであとわずか。二人の気持ちはたしかにこの時この場所になって、緩やかに端から溶け合い、少しずつ少しずつ、互いの心に温かなものをもたらしていました。 ただ。ただ1つだけ、そこに小さな間違いがあったと、するならば。 「……そうですね」 その言葉に青田はまた小さく笑って、それから、息が触れるほど近くにいる原さんにも気付かれないように、そっと悲しげに目を伏せたこと。かすかに吐いた息に、原さんが気付けなかったことでした。
(一同、8階のレストランフロアへ)*12
*1:このときTLでは私が「どこが元気になったんですかねえ?(下ネタ)」とツイートしています
*2:お前そんなことしたら安全かつ確実にゲームクリアやぞ! 大変だ! と思ってめちゃくちゃ頭を回転させてました
*3:このときTLでは青田さんが「ねえ葵ちゃんちょっとここ押してみない? 東大生だから知らないかな、10連ガチャって言うんだけど??」とツイートしていますね。やかましいわ! クリティカル出しすぎ! と思っていました。原さんからは「今なら行ける。ガチャのたびに思ってることですね」とコメントが。そのとおりだよ。
*4:泣きました
*5:モーターボートですね
*6:これを皆でググったところ、飛行機用の設備だと判明したのでボツに……
*8:推しと推しを無理やり接触させる最悪のオタクですね
*9:このときTLで私が「お姫様抱っこ展開、脱出後に二週目プレイで開放できるおまけシナリオやん」とツイートしている
*10:ファンブルと言っていますが、ファンブルは96からなので間違いですね。みんな間違えてました
*11:このときTLで私が「私が絵師ならセッション終了後にリプレイ画像と称して原青お姫様抱っこ絵描いてるから」とツイートしている
*12:後半のPLの動き、第三者から見てもヤバイだろうけどGMから見るとヤバイなんてもんじゃないです。シナリオの振れ幅を大きく超える文才を発揮してきたのでこのままでは期待値を大きく下回る展開になってしまう! と裏で必死にテコ入れをしています。なんだよPLが自分で伏線を張るTRPGって……(震え声)