TRPGをした話5
TRPG前回までのあらすじ
高層ショッピングモールの屋上に不時着した原大和と青田葵は、エリア86にたどり着くために脱出の方法を探していた。あちこちから集めた材料を使って簡易イカダを製作し、あとは救援を待つのみとなった二人の探索は一見順調に見えた。しかし互いに何やら懸念があるようで……?
「GM、ぼくが青田さんを無理にドアの向こうに押し出す、とかいう動作をした場合、彼女が抵抗したらどうなるんですか?」
「ひとりの方が、生き残れる確率は高いんじゃないでしょうか」
――生存者よ、エリア86へ行け!
ホビーマウンテン見取り図
10階 屋上
9階 映画館
8階 レストラン
7階 家具屋
6階 電気屋
5階 スポーツ・レジャー
4階 本屋・CDショップ・文房具
3,2,1階 浸水
現在の浸水度
7階が半分水没
セッション中の会話は発言者の名前を色わけしてあります。
注釈が入ってるところは用語の説明か私の一言コメントです。
※ ※ ※
――最後のお遊びです。余った時間を楽しく消費しましょう!
青田:わーい!
原:原青が予想以上に優秀だった!(ファンブラーだけど)
青田:まだ大丈夫なのがレストラン・映画館・屋上だけですね。
青田:原さん
原:はい。
青田:青田はしばらく、なんとも言えない顔でもごもごと口籠った後に、微妙に明後日の方向を見ながら言いました。「地球最後の映画、見たくないですか?」
原:原は最初、いきなり何を言い出すのかこの子は、という目で彼女を見下ろしますが、青田のどこかもの慣れない、恥ずかし気な様子にふ、と肩の力を抜きました。
原: そうか、自分は肩に変な力が入っていたのだなと、その時初めて気がつきます。そうして、もしや彼女はこんな自分を心配してくれたのかと、なんだか暖かな気持ちになりました。
青田:「その」追うように、なぜか急ぐように、青田が言います。
青田:青田はしばらく1人で百面相をしていましたが、そのうち真っ赤になって、かわいそうなくらいに目を潤ませながら、声を詰まらせてこう言いました。「で、で、………デート、はじめて、なんです」 蚊の鳴くような声でした。
原:「そうだね」原は穏やかに頷きます。「ぼくは動物が出て来る映画なんか大好きなんだけどこんなおじさんでよければ」*1
原:そうして、彼女と目線を合わせるために膝を曲げて、ぎこちなく微笑みました。*2
原:「一緒に映画でも如何ですか、お嬢さん」
青田:ぱっ、と一瞬で青田の表情が明るくなりました。それからひどく躊躇いがちに、しかしやがて決心したように、おずおずと手を差し出します。
青田:「最後の映画ですから。すてきな時間にしましょうね」
原:その手に触れて、指先だけで軽くつかんで。先ほどまでワイヤーだのビニール袋だの、そういったものと悪戦苦闘していたせいで少し傷ついてしまった華奢な手を、意外なほど熱く感じながら、原大和はそうだね、とまた頷きました。
原:「記念すべき初デートだ。何が観たい? アクション、コメディ……ああ、えーと、ホラーだけは苦手なんだけど、もし君が観たいなら、頑張ってみるよ」
青田:自分より一回り年嵩の男が膝を折って自分と視線を合わせ、そう困ったように笑うのを青田はくすくすと笑いながら眺めました。 「じゃあ、一緒に動物映画を見ましょう。映画のデータがあるか分かりませんけど。動くかも、分かりませんけど。それでも。ぜひ」
――はい。というわけでですね*3
――映写機が動いたかどうかは二人だけが知るところ。とにもかくにも二人が映画館にいる間、ひたひたと水が上がってきます
青田:でしょうねえ……
原:メリバの流れ
――二人が外を見ると、八階の天井から九階の床へ、じわりと水が上がってくるところでした。どうしましょう?
原:「ああ、もう時間だ」原は名残惜しそうにそう言うと立ち上がり、隣に腰かけていた女性に手を差し伸べます。
原:「デートの続きは、火星でというのは如何ですか、お嬢さん」
青田:青田は――
青田:青田は、笑います。 「ね、原さん。本当は分かってること、お互いにあるでしょう。真面目なお話をしましょう」
青田:青田は手を取りませんでした。
原:原は首を傾げます。わからない、と。意識して、なにも考えていないように振舞いました。まるでなにも心配することなどないと言うかのように。
青田:「原さん。分かってるでしょう。あんなボロボロのメーヴェの筏、人を2人も支えられるか分からないこと。1人が乗った方が、確実に助かる。サーフボードで筏を作ろうって時も、ずっと同じこと考えてました」
青田:どちらを選ぶかなんて歴然でしょう。 青田は、駄々をこねる子供に言い聞かせるように辛抱強く言いました。
青田:「私は頭が良いだけの子供。片腕は、応急処置のお陰で痛みはありませんが、少し不自由です。ね、原さん。ライフセイバーをやっていらっしゃって、水泳が得意で。原さんなら大丈夫だって分かってるでしょう。私が1人乗っても生き残れるか分からないけれど、原さんなら」
原:「お嬢さん」
原:何かを言いかけた青田を、原は遮りました。
原:奇妙なほど落ち着いた気持ちだ、と彼は思います。感情は穏やかに凪いでいて、ただ目の前で必死な、守るべき小さな女の子を慈しむように見つめていました。
原:「新人のライフセーバーなんかには、よくよく言い聞かせることだけどもね。この仕事は、まず自分の無事を確保できない人間には務まらないんだよ」
原:「溺れる人の力の強さを知ってるかな? すごいものだよ。どんなに小さな子どもでも、死に物狂いで暴れるんだ。自分の命がかかってるからね。パニックになって、手あたり次第暴れ狂う、なんてのも、まあ珍しいことじゃない」
原:だから、と原は言います。だからライフセーバーは、自分たちは決して過信しないのだと。
原:「ぼくらはね、確実に『助けられる』ようにするのが仕事なんだ。ぼくひとりなら助かる? そうかもしれないね。でも、ぼくはこう思ったからずっと君と一緒にいたんだ。『ぼくとこの子ふたりなら助かる』って」
青田:「ほんとに?」 泣き出す寸前のように声が縒れました。 「ほんとに、そう思う?」*4
青田: あなたが私のせいで、私が助かるせいで死ぬというなら、私、そんなことにはとても耐えられない。眉間に深く皺を寄せ、顔を強張らせて青田は囁きました。
原:「正直に言おう。あとひとり誰かがいたら、ちょっと厳しかったかな。もしくは、君の体重が今の3倍あったとしたら」
青田:ぷ、と青田は小さく笑いました。
原:その笑顔に、原は少し、安心したように息を吐きました。
原:「助かりたいと思いなさい、お嬢さん。ぼくらは助かりたくて必死な人を助ける方法は知っているんだから」
青田:「……本当に、本当ですよね。信じちゃいますよ」 不安げに瞳を揺らがせて、青田はそう言います。そしてまた、先ほどよりもずっと臆病に、原さんの方に手を差し出します。
青田:それはかすかに手が前に揺れたと同じ程度の動きで、そこでまた青田はぴたりと動きを止め、躊躇っています。
原:おずおずと差し出された彼女の手を、足りない距離を埋めるように腕を伸ばして引き寄せて、原は彼女を肩に抱き上げました
原:驚く声も、抗議の言葉も。ひょっとしてこれってセクハラかなあ、なんて自らの心の声も、今だけはまるっと無視して歩き出します。
――はい。では浸水です
青田:浸水「よ う や く」
――ここに来ていよいよ時間がありません
青田:原さん走って
原:屋上まで走ります!抱き上げたまま!
――あなたたち(原メイン)はいそいで屋上へと駆け戻ります
原:イカダの上でも抱っこのまんまです!
青田:ヒュー
――背後からは二人を追いかけるように、または二人に付き従うように水が迫っています。二人はイカダにのりこみました。しかし。ひとつのメーヴェに二人が入ると重心の関係でどうしても安定しません
原:そりゃそうだった。お嬢さんを隣のメーヴェに乗せて、ついでにサーフボードふたつも彼女の方に置きます。
原:んで、バランス取るのに体を青田さんの方に乗り出して、救助船が少しでも早く見えるように立ったまんまでいます。これでふたりの体格差相殺できますか?
――できることにしましょう! それでいい? 青田さん
青田:(何も言えずに口をはくはくさせている)(みるみる顔が真っ赤になる)
原:悪い大人だなあ原とかいうやつ
――さて。いよいよ波がせり上がってきます
――二人を載せたイカダを、ゆっくり水がとりまいていきます。水にさらわれ一度クラリと揺れましたが、イカダは問題なく浮かびました
青田:やった~~!
原:こ、これは……ハッピーエンド……!?
――じょじょに水に押し上げられ、屋上の高いフェンスを超すくらいまでイカダは上昇していきます
――その時の光景をあなた達は一生忘れないでしょう。一面が水に沈み、水平線まで巨大な鏡のように空を映していました。
青田:(どきどき)
原:わくわく
――雨が徐々にやんで、これなら救援ボートも見つけやすいだろうと思われます
青田:エンドロールが流れ始めましたよ
――しかし、そのときです
青田:!?
原:!?
――突如、まるで嵐の最後の名残だとでも言うように、強い強い突風が二人を襲いました。二人のメーヴェを結んでいた紐が風に耐えきれずほどけ、二人は風に流され離れていきます。手を伸ばしても指が届かず、風が止むのを祈ることしかできません。下手にバランスを崩すと転覆してしまうでしょう。
――ここで、最後のロールです*5
原:何ロールですか、GM
――(水泳+操縦)÷2。ただしサーフボード1枚につきボーナスあり。これに失敗すると、相手の目の前でイカダが転覆し死ぬことになります*6
青田:トラウマものじゃないですかヤダー!
原:これはクトゥルフじゃないのに原のSAN値が削れるやつでは……?
青田:サフボ、どっちもこっちにあるのでは!?
原:ありますね!
――1枚につき15%のボーナスです。青田さんは(水泳+サフボボーナス)÷2をしてください。その他ボーナスになりそうなものがあれば交渉受け付けます
青田:(水泳30+30)÷2………
原:あ、メーヴェにビニール袋セット付けてましたよね!?その分のボーナスもらえませんか
青田:それだ!!
――じゃあ二人とも割る前の()の値に+10で
青田:私35~!
原:2で割ると切り上げで53(不安がよぎる)
青田:あ、葵ちゃんは全般的に運動が得意で運動神経がめちゃめちゃいいです!!運動神経がよい人は大抵運転はうまい!!!(どう?)
――でも操縦に振ってないのでねえ
青田:くそ~!
――操縦の初期値を足してもいいよ
青田:操縦って初期値1やんwwww
原:あ、それとふたりとも応急手当の結果開始時よりも耐久回復=今体調絶好調なのでは…!?
――なるほど一理ある。ではボーナス、開始時よりも増えたHP量×5を、さっきみたいに割る前のやつに加算。以上でボーナス終わりかな。あんまり高くなると大博打にならないので
青田:私は(30+30+10+10)÷2で40ですね
原:110÷2=55
――ではその値でロールしていただきます
青田:えーん
――ハッピーエンドをかっさらえ!
原:いきます
青田:同時にいきます
(二人、それぞれ40と55でロール)
原:せーの
青田:せーの
青田:
原:
――心中ですね。
原:トラウマになる人はいなかった(白目)
青田:しかもわたしファンブル〜。これは速攻波に飲まれましたね
原:もしかして離れるとき、ちぎれたワイヤーでざっくり……?*7
青田:イヤァァァァァァ
原:原、絶望による死を迎えたのでは
青田:わたしは、少なくとも原さんがいきていると信じたまま死ねたかもしれない。原さん、数値が惜しいの、諦めたのでは?(妄想)
――ありそう
原:ホラー苦手とかいうフラグも立ててたしなあ*8
青田:原青…………………………
青田:原青に黙祷
――黙祷。
原:黙とう
青田:いや~~それにしても楽しかった。原青……
原:水の下にも都はあります? 水底の国でいつまでも幸せに暮らしました
――妖精の駆け落ち物語みたいになってる
青田:私ワイヤーで首切れてるかも(デュラハンでは?)
原:首を小脇に抱えた美女と、死んだ目のイケメンカップルか……
※ ※ ※
強い突風が二人を引き離していきます。
「……!」
青田はすがりつくようにメーヴェの縁に手をかけ、限界まで指を伸ばしました。あと数センチ、原の指に届きません。
青田はぐっと体を乗り出してどうにか切れたワイヤーだけでも握ろうとします。しかし強風で跳ねるワイヤーは思うようにつかめず、ぴしりと青田の頬を打ちます。ざっくり切れた頬から血が流れ、痛みで涙が滲みました。
「いけない!」
「……え?」
必死にバランスを取っていた体がふっと軽くなりました。ついで、どぷんと冷たい感覚。青田は身を乗り出しすぎて水に落ちてしまいました。
原はその光景を、回らない頭でスローモーションのように見ていました。
この水は有害、一度落ちればどうなるか。
「か、はっ、あ、……!」
必死に手を伸ばす青田と一瞬目が合いました。もうずいぶん水を飲んでしまっているようです。顔に怪我をしたのか、水に血が混じっていました。これでは助けたところで、きっと体には毒素が残ってしまうでしょう。
「あ、ああ……」
わかっていました。原は元ライフセーバー。どうしようもない事例だって、いくつも見聞きしています。だからわかっていたのです。自分ひとりでも助かるべきだと。
「ぼくは、きみと、」
――きみとなら、たすかるって。
すっかり風が止んだころ。鏡のような水面の一箇所には、無人のメーヴェと救援に来たボートだけが浮かんでいました。
火星行きロケットはまもなく発射します。
※ ※ ※
はい。というわけでシナリオ『エリア86へ行け!』はここで完結となります。お付き合いいただきありがとうございました。
参加者のお二人のおかげで非常にノリノリなセッションになりました。あらためて原さん、青田さん、ありがとうございました。
セッションが終わってからもお二人のツイッターがポツポツ更新されているのが、楽しんでいただけたと実感できて嬉しいです。以下はお二人のツイートの様子。
おや……?
というわけで、次のエリア86でお目にかかりましょ! ジージー!
*1:忘れてたんですが、原は38歳なんですよね。青田とは16歳の年の差です
*2:ここにきて青田のSIZ9という小柄設定がきました
*3:本当はもっと見たかったんですが、こうなるとエピローグまで二人の対話だけで進みかねないのでかなり強引に割って入らせてもらいました。すみません!
*5:このシナリオを考えたときから考えていたダイスロールです。そして誰もいなくなった、のエンディングがあるほうが面白いかなって(最低) ただしこれは実はナシになるルートもあって、PLが両方製作ロールに成功してた場合はアクシデントの発生の余地がないのでここはなくなる予定でした。つまり今回は青田さんが製作ロールにミスってたのがトリガーですね。
*6:GMの手元にはPLのステータスデータがあるので、もちろん事前に両者の数値は把握しています。このままでは青田さんの勝率が極端に低くなってしまうため、サーフボードのボーナスを多めに設定するなど、どうでもいい細かい調整が入っています。このあともだいたい勝率が5割になるようにPLからの交渉を受けています。PLが積極的に口説いてくれる人で良かったぜ
*7:鋭いワイヤー。原さんが事前に決めた持ち物ダイスの結果です。鋭い、というのがここにきて……ですね
*8:映画館での会話ですね「ホラーだけは苦手なんだけど、もし君が観たいなら、頑張ってみるよ」
TRPGをした話4
TRPG前回までのあらすじ
高層ショッピングモールの屋上に不時着した原大和と青田葵。二人は協力してここを脱出し、エリア86を目指そうとする。サーフボード、方位磁石、ペンチを順調に手に入れ、救助を呼ぶ二人。しかし救助が到着するのは当分先になるという。さらに青田は7階、家具エリアでの探索途中、足を負傷してしまう。原は顔色の悪い青田を抱きかかえてレストランフロアへと移動。道すがら互いに心情を吐露することで、二人は必ず生きてエリア86に行こうと決意を新たにするのだった。ところがなにやら青田の様子が――「大和さん、必ず生きて、エリア86に辿り着きましょうね」
ホビーマウンテン見取り図
10階 屋上
9階 映画館
8階 レストラン
7階 家具屋
6階 電気屋
5階 スポーツ・レジャー
4階 本屋・CDショップ・文房具
3,2,1階 浸水
現在の浸水度
5階が完全水没
セッション中の会話は発言者の名前を色わけしてあります。
注釈が入ってるところは用語の説明か私の一言コメントです。
※ ※ ※
(一同、8階に移動)
原:じゃあ青田さんに応急手当、再チャレンジしたいです!
――どうぞ!
(原が手当60でロール)(同時に水面上昇、6階が半分水没)
原:24成功! 回復量は1D5で……5!!!!!
青田:3減少で5回復「骨折治ったし筋肉ムキムキになりました」
――運命的すぎるダイス
青田:愛ですね
原:愛ですな
(青田、HPが8→12)
青田:青田は痛みがすっかり収まって顔色もよくなりました。「原さん、ありがとうございます」(呼び方が原さんに戻る)
原:これだから処女は!! ※原は一度も呼べてない模様
青田:精神DTの壁は高い
原:「いえ、元気になったようでよかった。このフロアは……」言って、原は当たりを見回します。「レストランフロア、ですか」
青田:レストランフロアか〜目ぼしいものがあるか微妙なところですね 食べ物とかしかなさそう*1
原:GM、ダメ元で目星が買い物ポイント振って各レストランのテーブルがさっき言ってた木材か確認しても大丈夫?
――いいですよ
(原、買い物ポイント×4=32でロール)
原:原は気づかずロールしてます。……66、失敗ってことはテーブルは見つけられなかったみたいですね
青田:ではレストランのテーブルを確認しては溜息をつく原さんに聞こえないように、青田は囁きます。
青田:「あのサーフボード。サーフボードって、一人でだって乗るのも大変じゃないですか。安定だってしないし。それを」 青田はここで躊躇いがちに言葉を切りました。一度唇をきつく引きますんで、息をひとつ落として。
青田:「それを、いくら2枚組んだからといって、二人で乗って。雨でメーヴェが墜落するほどの天気の残滓が残る中。二人で救助船を待つまでの間、持ちこたえるなんて可能でしょうか。本当に、できるんでしょうか?」 ひとりの方が、生き残れる確率は高いんじゃないでしょうか。*3
原:じゃあここは敢えて大和のモノローグなしで行きます! それでGM,事前確認したいんですけど、いいですか?
――はい?
原:原が青田さんを、例えば無理にドアの向こうに押し出す、とかいう動作した場合、彼女が抵抗するならSTR対抗ロールですか? もしSTR対抗なら、期待値教えてほしいです*4*5
――るるぶの抵抗表を見ると、あおいちゃんのSTRが11で原さんのSTRが13なので、60ですね。ダイスの出目が60以下で成功です
原:よし、いける!ありがとうございます!*6
青田:悲しみの気配
原:こ、幸運ロールさえ成功すればだいじょうぶだから……。テーブルが駄目なら、原は多分もう思いつけることはなさそうかな。
青田:なら特に何も発生しない感じかな 一応目星振ってもいいですか?確認に
――よろしい
(青田が目星45でロール)
青田:68失敗wwww
青田:とりあえず、サーフボードをワイヤーで繋げるなどしてみます?二人とも制作振ってないのがあれですが…*7
――では原さんが木材を探すのに失敗した、その次の行動ですね
青田:製作初期値、5%かあ(しろめ
原:レストラン、映画館、屋上でそれぞれ3回チャレンジできるから(震え声*8
(青田、製作5でロール)
青田:32で失敗。デスヨネー
原:知識ロールで成功したらイカダの作り方思い出した、ってことでプラス補正なりませんか?*9
――じゃあねえ……自分の持ち物を生かしてなにか確率上がりそうなことしてください。それがGMの心を動かしたら、補正採用しましょう
青田:小さい数珠でダイスの女神に一心不乱に祈りを捧げます
原:ロケットペンダントと黄色い指輪を見下ろし、元恋人と受けたライフセーバー講習、簡易で丈夫なイカダの作り方を思い出そうとします。*10
青田:原さん堅実的すぎて青田がガチのアホに
原:原はついでに手持ちのワイヤーも使います。イカダ作りに。(しかし元恋人に未練たらたらである、この男)
――なるほどなるほど。……どっちも最高!!!!! ふたりとも製作+12%!!!!!!*11
原:17ですか……では、いきます!
(原、製作5+補正12でロール)
原:61の失敗……ちょっと失恋の痛みまで思い出してしまったようですねえ……
――ではお二人とも筏を作ることができなかったようです。
青田:よし、次の階上りましょう
原:「うまくいかないもんですね……昔は確かに、こうやってたんですけど」
青田:というか
原:はい。
青田:その原さんの様子に、青田、少々、ほんの少々ですが、ほんの少し、なんとなく、むっとしています。心なしか、眉根にシワが寄っています。*12
青田:青田は足早に次の階に登ってしまいました
原:原は驚いたように瞬いて、肩を落としました。元恋人もよくこうやって怒っていたなあと、やっぱりぼくは駄目な男なんだなあと落ち込みながらフロアを上がります。*13
(一同、9階へ移動)
青田:これは駄目な男(確信)(嫌いじゃない)(むしろ好き) さて、とうとうお待ちかねの映画館フロアですか
原:次は映画館フロアですね! 映画館ってなにかあります?
青田:目星しましょうか。モニターと椅子があるイメージしかない
(青田、目星45でロール)(同時に水面上昇、6階が完全水没)
青田:お、久々の16で成功した!
――じゃあ成功したので、映画館についてです。……無人の映画館。数年前の映画のポスターが貼ってある。世界中で浸水が進むにつれて、新作映画が作られることもなくなってしまったのだ。ポスターに書かれた映画はプレイヤーたちも一度は見たことのある内容だった。……あとは、映画館に置いてそうなものがだいたいあります。ポップコーンの入れ物とかですね。さすがに食べ物は残ってないけど
青田:正直一番役に立たなさそうなフロアだな……と思ってたんですが、その通りあんまり思いつかないですね*14
原:GM、バックヤードは入れますか?
――入れますよ
青田:すごくTOKIO的な発想をするなら、ポップコーンのプラカップを大きなビニールにたくさん詰めて浮かすと結構浮くんですが……というかビニール袋いっぱいつけるだけで結構違う。さすがにナシかな 暴風雨ですしね
原:バックヤードなら、テープ類も多分あるしなんならゴミ袋に空のプラスチック飲み容器フタ付きガサガサ詰めたら浮袋みたいにならんかなーと*15
青田:もうここまで来るとヤケですね やっちゃいましょやっちゃいましょ お買い物ポイントこれ使います?
――使いますね。でもひとかたまりいくらって感じですね。量り売りお菓子みたいなかんじで*16
原:多分屋上にはめぼしいものなさそうですし使い切ってもいいのでは?
青田:そうしましょうか
原:あー最初に屋上になにあるか確認しとけばよかったですね
青田:ですねー ずぶ濡れで寒いからあまり確認しなかった
原:GM,買い物ポイント8残ってる分使い切るとして、どのくらいの量になります?
――えっと、何がどれくらいほしいかにもよるかな~。何を持っていきます?
原:なるべくおおきなビニール袋と、そこに入るだけのふた付きプラスチック容器と、袋の口を閉じるテープやビニールひもを持っていきたいです
――わかりました。ビニール袋×10、テープ×5、ビニール紐を100mで、二人とも買い物ポイントをマイナス3ですね。
原:かっぱらって買い物ポイント、8→5に
青田:買い物ポイント10→7に。製作17でやりますか
(青田、製作5+補正12でロール)
青田:おっっっっTRPGで初めて見る数値かもしれないですよGM
――まさか?
原:まさか
青田:ふふ
原:クリティカルーー!!!!!!! では私も行きます!
(原も製作5+補正12でロール)
原:これは
青田:私がせっかく作ったのに壊さないでwwwwwww
原:あの、クリティカルボーナスとファンブルデメリット相殺してノーマル成功でここはひとつ……
青田:ありだと思います
――これは両者もういちどロールですね
青田:おっけーです
(二人、製作5+補正12でロール)
青田:32で失敗ですわ
――盛 り 上 が っ て ま い り ま し た
青田:ぶっつけ本番作業じゃないですか!やだ〜!
原:ええとじゃあ、青田さんは完璧でこれ以上ないイカダを作った!……と思いきや原がうっかりつまずき転倒、再度作りなおすもふたり揃って失敗。青田さんから原への好感度、ここにきてメキメキ下がってる気がする
青田:「…………………原さん………………………………」
原:「ご………………ごめん………」
青田:屋上…………最後まで成功しなかったら、と青田がぽつりと呟きます
(一同、屋上へ)*18
原:サーフボードに寝ころぶだけならいくらか持つかな、と原は屋上の設備を眺めながら言いました。というわけで目星したいです!
――はい。何に対してしましょう
原:救援が来るなら、ここにとどまってなきゃいけないんですよね。だったら、もし運よくイカダができても波に流されないよう、錨代わりのものが必要です。そこで、ワイヤーとサーフボードを繋ぐことができ、かつ丈夫そうな柱や類するものがないか目星で見つけたいです!
(原、目星25でロール)(同時に水面上昇、7階が半分水没)
原:31 普通の失敗より大幅に外したかった
青田:あとさわりなかったら外の様子について知りたいです まだ暴風雨?
――雨はまだ降ってますがややマシにはなってきましたね。風も生ぬるくまだ吹いていますが、吹き飛ばされるほどではありません。台風の最初の方みたいなかんじ(伝わるかな?)
原:これから荒れそうだな。というかんじですか?
――そういう感じではないんですが、いかんせん水かさが増しすぎて世紀末状態なので、めちゃくちゃ湿度が高いんですね。生ぬるくっていうのはそういう雰囲気です
青田:では私も原さんと同じ理由で目星ふっても?
――いいですよ
(青田、目星45でロール)
青田:34、成功。基本目星は成功率の高い葵ちゃん
――ではあなたはあたりを見回しますね
青田:はい
――あたりには、二人が乗ってきたハンドルのとれたメーヴェ2台、二人が最初に見た建物内の案内マップがあります。案内マップは額縁に入っていて、壁に固定されていますね。以上です
青田:メーヴェ、もしや割と軽いのでは?浮水しますかね
――ナウシカでは浮いてたのでおそらく浮きますね
原:もしかしてイカダ不要……?
青田:でも破損してますし、本来は飛ぶものなので人が乗って浮くのは難しかったかも
――そうですね。抜群に浮くというかんじではないです。
原:じゃあ、持って来たビニール袋セットをメーヴェの周囲に取り付けて浮力の足しに、サーフボードは万が一のためにひとり一枚持ち込みたいです!
青田:なるほど それはいいかも
――お、もうイカダの製作ロールはしないかんじ?
青田:メーヴェで簡易イカダ。
原:メーヴェを浮力の高い桶代わりにイカダを作る(ビニールセットを添えて)、という方向に変えます。ビニール取り付け、ロールはやはり制作ですか……GM……
――ですね。ところでそれは、二人がそれぞれ自分のメーヴェに取り付けるってことでいい?
原:あ、待ってその聞き方は もしやそれぞれ別ロール扱いです?
――ですね。片方成功しても、作れるのはひとつだけってことです。つまり二人が成功しなきゃいかん。
青田:製作17を
原:2連続
青田:キッツ
原:……水上ではぐれないように、ふたつのメーヴェをあわせてひとつにして作りましょう!
青田:無問題です!
――じゃあ二つをくくりつける感じですねたぶん。それなら片方製作成功でおっけーです
(原、製作5+補正12でロール)
原:神よ……
青田:ファンブルですか!?
原:12で成功です……!
青田:よかった~~~~~! これで安心して外せます(まっさきにファンブルを疑ってしまった)
(青田、製作5+補正12でロール)
青田:53失敗以下略
――片方成功したので製作できたとみなします。おめでとうございます。ではあなたたちは簡易イカダを作ることに成功しました
青田:ばんざい!
――おっと、ここで状況整理です
青田:はい
原:はい
――原さんが救援を呼んだことによって、ただいま救援用無人ボートがあなた達のもとに向かっています。しかし救援用無人ボートが来るのは、十階が浸水する頃。今水は七階を半分満たしています。つまり時間が余っているんですね
――最後のお遊びです。余った時間を楽しく消費しましょう!
*1:青田さんはこう言っていますが割と色々置いてます。聞かれなかったので答えませんでしたが、このフロアにはパスタ、ハンバーグ、しゃぶしゃぶ、和食、回転寿司などの店舗が入っており、その料理に必要そうな調理器具や皿などは結構置いてました。
*2:またお前はそういうことを!!!!! わくわく
*3:性癖で中の人がバレてしまうでこんなん!!! 楽しい
*4:お ま え も か
*5:STR対抗。ある物体に働きかけようと思った場合、自分の筋力と対象物の筋力によってロールの判定パーセンテージが変化する。公式ルルブに抵抗表が載っているのでそれを参照する。
*6:いけねえよ
*7:技能:製作のこと。シナリオごとにPLがスキルを振っておくべき「推奨技能」というものが存在する。今回は事前に製作を推奨技能として伝えておいたにもかかわらず、とんでもない以心伝心を発揮してPLがだれも製作にスキルを振らないという結果になった。なんでやねん。
*8:階層を移動すると一度振ったロールでももう一度チャレンジすることができます
*9:他の卓は知りませんが、私がGMの卓では基本、こういう交渉はガンガン受け付けます。GMを口説けるくらい説得力ある理論を展開してほしいです。楽しいので。
*10:元カノの影がちらつく男ってよくないですか? これは私の性癖の話ですが。
*11:甘すぎる。二人を生かしたい想いが出すぎ。こころなし、PLからはバドエンが遠ざかって名残惜しそうな気配も読み取れる
*12:なにそれ!!!!!!! と大声を出しました
*13:まま、なんでこの人たちGMが予期しないところでドラマを繰り広げるん?
*14:これは裏事情なんですが。普通ダンジョンって近い方から攻めていくじゃないですか!! 屋上からスタートするから絶対映画館って最初に行くと思ってたんですよ!! だからめぼしいものはあまりない感じだったのです GM泣かせでウケる
*15:そういえばスポーツ用品店に浮き輪あったんですよね。
*16:これは映画館によくあるからですね。映画館にあるものって結構あるよ、という示唆のひとつでこういう表現をしています。
*17:前回も言いましたが、これは判定の仕方が間違ってますね。でももういいやハウスルールってことにしよう。95はファンブル、いいね?
*18:実は映画館、子供用の補助シートやブランケットなどもありました。どう用いるかは不明ですが一応。
TRPGをした話3
TRPG前回までのあらすじ
高層ショッピングモールの屋上に不時着した原大和と青田葵。二人は協力してここを脱出し、エリア86を目指そうとする。5階で服を着替えサーフボードを手に入れ、4階でペンチと方位磁石を手に入れた二人は、迫り来る水から逃げるように6階の電気屋フロアに移動した。
ホビーマウンテン見取り図
10階 屋上
9階 映画館
8階 レストラン
7階 家具屋
6階 電気屋
5階 スポーツ・レジャー
4階 本屋・CDショップ・文房具
3,2,1階 浸水
現在の浸水度
4階が完全水没
セッション中の会話は発言者の名前を色わけしてあります。
注釈が入ってるところは用語の説明か私の一言コメントです。
※ ※ ※
(一同、6階に移動)
青田:青田はとりあえず、疲弊し肩で息をする原さんの応急手当てをしますね
――じゃあ手当ロールですね
(青田、手当40でロール)(同時に水面上昇が起こり、5階が半分水に沈んだ)
青田:16成功! 回復量は1D5で……3!
原:2減少して3回復www
――美女効果で原さんのHP、8→11ですね
青田:患者が元気になってよかった(美談)*1
原:電気屋……衛星電話か通信機器があるか幸運ロールしてもいいですか? ロケット打ち上げ本部みたいなところに連絡を取ろうとすると思うんです、原は社会人だから
――よろしい しかし電波が届くかどうか(移住が進んでいるのでエリア86の外には電波が届かない可能性がある)も同時に占うので、幸運の半分でロールどうぞ
原:わあ……(白目)
(原、幸運1/2=30でロール)
原:20で成功ですね
――電話があるし電話が通じますね*2
原:では、移住計画実行委員会的なところに電話をかけて、現状と現在位置を報告します。その上で、救援を要請します。
青田:私はその間に目星で適当にアタリつけても?
――いいですよ
(青田、目星45でロール)
青田:! 6で成功、クリティカルですねえ(どや……)*3
――は? おいまたか?
――ではまず原さんの電話について。電話で相手に状況を説明しますね。しかしゲリラ豪雨はエリア86でも発生しているようで、救助にはかなり時間がかかりそうです。相手からは「無人操縦のアレを送ったので、アレが到着するまで持ちこたえてくれ」との返事があります。ここでいうアレとは、GMが名前を忘れましたがあのエンジンが付いた速い船のことです。*5到着するのは十階まで水が来るころ(つまりゲームのリミット)ですね
原:なるほど、じゃあなんとかして気絶しない程度に水から逃れていれば生還エンドか。希望が見えてきた!
――次に青田さんのクリ判定ですね。現在地、6階の説明をします。……一般的な電気屋ですね。カメラ、パソコン、携帯、ゲーム、その他家電もろもろ、があります。加えて隅の方には楽器も置いてあります。電子ピアノとかね。電気系ならわりと何でも置いてあるっぽく、電池で動くドリルもあります。
原:電動の小型エンジン(船用)とかワンチャンありますか?
――幸運の半分ロールでアリよりのアリ
原:今ならいける気がする!
(原、幸運1/2=30でロール)
原:Oh,88失敗……
青田:オーケー、ここには何もなかった、いいね?
――移動しますか
原:よっしゃよっしゃ。桶代わりになりそうなのはやっぱり家具フロアかな?
(一同、7階に移動)
原:フロアマップを見て、非常用の梯子をさがします。そして、それが空気で膨らませるタイプかどうかを幸運でロールしたいです。*6
青田:じゃあ私は水に浮く椅子推しで……
――原さんのは家具屋にはなさそうなので、青田さん、幸運の半分ロールで有り無し判断ですね
青田:原さん、見ててください…!わたし、今度こそお役に立って見せます。と青田は決心した表情で家具屋フロアを漁ります。
(青田、幸運1/2=33でロール)(同時に水面上昇が起こり、5階が完全に水没)
青田:9……6、ふぁんぶる?
原:ファンブル
――あちゃま。大失敗なので何も見つからないどころか探してるときに躓いて怪我をしますね。ダメージが1D3
原:高い!?*7
(青田、1D3ロール)
青田:3……ヴッッッッ骨が……!!!!!!
――今だ!!!!! やさしく手当するんだ原!!!!!!!*8
原:原は美女にあるまじきうめき声を聞きつけ、急いで駆け寄ります。「青田さん、大丈夫ですか!?」彼女から手当ての道具を受け取り、応急手当(60)します!
(原、応急手当60でロール)
原:80失敗……だからフラれたんだよおめえはよお
青田:(黙って首を横に振る)適当な診断ですが恐らく腕が折れています ウッウッ
(青田、HPが11→8に減少)
原:元彼女一筋だった原は、さっき会ったばかりの美女に触れることすらおっかなびっくり、ロクな手当てもできないのでした……
青田:「い、いいんです、原さん……私が自業自得でした怪我ですから……!」(涙目)と青田は必死に気丈な素振りをしています
原:「ひとまず休んでいてください。ここは僕が見てきますから……!」と言って、原は青田を近くにあったソファに座らせます。
原:これはお姫様抱っこをせねばなるまい(使命感)*9
青田:すみません、と小さな声で言って、青田は目を閉じてぐったりします。(骨折大騒ぎで紛れましたが、浮くものを探さねば…)
原:探索後に次の階移動する時、お姫様抱っこします(宣言) GM,浮力の高い木材を思い出せたか知識、もしダメならさっき手に入れた通信機でネット検索ロールしたいです
――浮力の高い木材、いいですよ
(原が知識90でロール)
原:2のクリティカル!!! 美女から離れたから……? DTメンタル
青田:それはもう美女じゃなく疫病神では
原:リアル知識じゃ無理だったのでググったところ、桐、ヒノキ辺りは浮力が高い(ルアーにも使われる)みたいです。ポプラ、バスウッド、ヒノキならコーティングなしでも耐水性大丈夫、ってとこまでクリティカル恩恵で思い出せたことにしてもいいでしょうか
――いいですよ
原:ではこの3つの素材が家具エリアにあるか、ロールしたいです!
――あいあい。あ、ではここでロールの仕方変えます。ずっと同じじゃ飽きるので
原:ギクッ
――買い物ポイント×4のロールでいこう(ポイントを消費するとロールが難しくなっていく)
原:4倍でも私32……青田さんにも伝えて知識共有、万が一に備えます。
青田:よっしゃ(青ざめた顔)
原:「ポプラ、バスウッド、ヒノキ辺りなら、ここにもあるでしょうか」原はひとり言にしては大きな声で呟きます。平然としたフリをしていても、彼も焦っているのです。まるで自分に大丈夫だと言い聞かせるようなその言葉は、当然青田さんにも届いていました。
(原、買い物ポイント×4=32でロール)
原:34失敗……!
青田:非常に惜しい
――どうします、青田さんも回しときます?
青田:回します。原の独り言を聞いた青田は痛みに耐えながら思います。(原さん…不安なんだ。こんな土壇場でわたしが怪我しちゃうから…当然ですよね…)少し項垂れてから、奥歯を食いしばって前を向きます。(私にも、何かできること…!)
(青田の買い物ポイント×4=40ロール)
原:じゃあ、耐水性の高いテーブルクロス探したいですGM!家具フロアで!
――どうぞ!
青田:がんばって原さん、私の仇を、どうか(どんどん顔面蒼白になる青田)
(原、買い物ポイント×4=32でロール)
原:44失敗
青田:(もうダメだ、の顔文字)
原:はい、じゃあ青田さんをお姫様抱っこして上のフロア移動しましょうか! あ、お姫様抱っこのロールいらないです?
――いらない。なぜなら無条件にお姫様抱っこしてほしいから。
原:アイアイ、マム
青田:今日イチの迷言「いらない。なぜなら無条件にお姫様抱っこしてほしいから。」
――オタクの本音が出てしまった
原:「青田さん、サーフボード持っていてもらえますか? 大丈夫です、絶対落としませんから」と声をかけて、原は青田の膝と脇を腕で支え、持ち上げました。予想以上にこのフロアで時間を取ってしまっています。彼女の怪我も心配ですが、今はまずさきに階を移動すべきだと考えたのです。*11
青田:「分かりました。お任せします。本当に、本当にお力にもなれず、足を引っ張ってしまい、申し訳ありません」青田は俯きます。
原:「……こんなことを言うと不謹慎ですけど、実は少しだけほっとしてるんです」原は敢えて青田に視線をやらず、前を見たまま続けました。
青田:「え?」
原:「実は先日、結婚するつもりでいた恋人に振られてしまったんです。彼女は先に移住ロケットの搭乗券が当たっていましたからね。ぼくと結婚したら、助からないかもしれないじゃないと、はは、言われてしまって」
青田:「それは、」青田は小さく息を呑みましたが、原さんの言葉の続きを待ちます。
原:「運の悪い男なんですよ、昔から。ここぞという時にばかり失敗して……幼馴染だったんです、彼女。だから、流石に愛想をつかされてしまって、以来、なんとなくひとりで」それでいいと思っていたんですけど、と言葉を切って、そこでようやく、原は青田をチラリと見下ろして、眉を下げました。困ったように。ため息を吐くように。
原:「ひとりでここに落ちていたら、多分諦めてました。でも、お嬢さんがいた。こんなぼくでも、いないよりマシくらいには手助けできるんじゃないかって。今は思ってるんです」
青田:「原さん……」青田は原さんの言葉を聞いて、ただ言葉を探すように視線を下げました。それから暫し逡巡してから、「その、」と、小さく言います。脈絡のない話に聞こえるかもしれませんが、と。
青田:「小さい頃から、勉強ばかりしてきて。いつか立派なお医者様になるんだって、そればかりで。わたし、何にも人に自己紹介できる『自分』がないんです。それなのに数年前から地球はこんなことになってしまって、人間はみんないなくなって」
青田:何がしたかったんだろうなぁって、最近考えてしまっていたんです。だから何が言いたいかっていうと、ですね。 そこで青田は一度言葉を切ります。それからはっきりと、原の目を見つめて言います。痛みのせいで顔から血の気が引いていますが、それでも口元は笑っています。 「私だって、あなたがいなかったら諦めていたんですよ。大和さん」
青田:「正直、腕が折れた時にも、もうだめかも、置いていかれたって仕方ない、諦めた方がいいかもって思ったんです。でも今こうやって、……なんだろう。あなたの腕がすごく温いなとか、そんなことばかりを考えている。男の人と抱き合ったこともなかったんです、私。笑っちゃいますよね」
原:その言葉に、原はパカリと口を間抜けに開いて――そのことに自分で気がつくと急いで唇を引き結び、青田から顔を背けました。首筋をじんわりと熱が上がってきます。もう耳の先まで真っ赤だろうと、やけくそのように思いました。
青田:青田は、原さんのその変化を不思議そうに眺めていました。それから小さく笑って、「ね、大和さん」と呼びます。「必ず生きて、エリア86に辿り着きましょうね。そのために私、頑張りますから。あなたが生きて帰れるように、頑張りますから」
原:「……じゃあ、ぼくは君が生きて帰れるように、がんばります」しぼりだすように、小さな声で。それでもその時の原には精一杯の言葉でした。女性経験なんて、この前分かれた彼女ひとりきり。いくらイケメンと言われようが、平均よりも低い身長と一途な性質では、元恋人以外の女性に対して免疫などできているはずもないのです。
原:それでもなんとか言葉を返したのは、年上としての意地と見栄、それからほんの少しだけ芽生え始めた、青田葵の前でみっともない姿を見せたくないという、いじらしい純情からだったのです。
青田:タイムリミットまであとわずか。二人の気持ちはたしかにこの時この場所になって、緩やかに端から溶け合い、少しずつ少しずつ、互いの心に温かなものをもたらしていました。 ただ。ただ1つだけ、そこに小さな間違いがあったと、するならば。 「……そうですね」 その言葉に青田はまた小さく笑って、それから、息が触れるほど近くにいる原さんにも気付かれないように、そっと悲しげに目を伏せたこと。かすかに吐いた息に、原さんが気付けなかったことでした。
(一同、8階のレストランフロアへ)*12
*1:このときTLでは私が「どこが元気になったんですかねえ?(下ネタ)」とツイートしています
*2:お前そんなことしたら安全かつ確実にゲームクリアやぞ! 大変だ! と思ってめちゃくちゃ頭を回転させてました
*3:このときTLでは青田さんが「ねえ葵ちゃんちょっとここ押してみない? 東大生だから知らないかな、10連ガチャって言うんだけど??」とツイートしていますね。やかましいわ! クリティカル出しすぎ! と思っていました。原さんからは「今なら行ける。ガチャのたびに思ってることですね」とコメントが。そのとおりだよ。
*4:泣きました
*5:モーターボートですね
*6:これを皆でググったところ、飛行機用の設備だと判明したのでボツに……
*8:推しと推しを無理やり接触させる最悪のオタクですね
*9:このときTLで私が「お姫様抱っこ展開、脱出後に二週目プレイで開放できるおまけシナリオやん」とツイートしている
*10:ファンブルと言っていますが、ファンブルは96からなので間違いですね。みんな間違えてました
*11:このときTLで私が「私が絵師ならセッション終了後にリプレイ画像と称して原青お姫様抱っこ絵描いてるから」とツイートしている
*12:後半のPLの動き、第三者から見てもヤバイだろうけどGMから見るとヤバイなんてもんじゃないです。シナリオの振れ幅を大きく超える文才を発揮してきたのでこのままでは期待値を大きく下回る展開になってしまう! と裏で必死にテコ入れをしています。なんだよPLが自分で伏線を張るTRPGって……(震え声)
TRPGをした話2
TRPG前回までのあらすじ
突然のゲリラ豪雨に襲われたプレイヤー、原大和と青田葵が高層ショッピングモールの屋上に不時着したよ。二人が乗ってきた乗り物メーヴェはハンドルがぶっ壊れて乗れないんだ。二人はずぶ濡れのなか(あかん……このままやとロケットの搭乗口に行かれへん……)と思ってるはずだよ。アッチョンブリケ!
前回書き忘れたので、ホビーマウンテンについて
数少ない未水没建造物のひとつ。山の中腹という立地と10階建てなのが功を奏して、浸水は現時点では3階までしか起きていない。去年の夏までは営業していたが、顧客層であった中流家庭が移住を始めると営業がストップ。今でも店内は夏仕様のまま放置されている。
10階 屋上
9階 映画館
8階 レストラン
7階 家具屋
6階 電気屋
5階 スポーツ・レジャー
4階 本屋・CDショップ・文房具
3,2,1階 浸水
その他備考
水は有害であり、もし水にがっつり触れた場合は1/1D4のダメージ。
プレイヤーがフロア移動→新しいフロアで行動を起こすと、水面が1/2階分上昇する。たとえば9F→8Fに移動して8Fでアクションを行った場合、水面上昇。アクションを行わず移動のみの場合はノーカン。
水面が上昇しきったときにゲームクリアの糸口が掴めてなかったらプレイヤーは死ぬ。
セッション中の会話は発言者の名前を色わけしてあります。
注釈が入ってるところは用語の説明か私の一言コメントです。
※ ※ ※
――屋上。着地の衝撃で気絶していたあなたたちが目を覚まします。
青田:ここはどこだろう? 私はメーヴェに乗ってエリア86を目指していたはず。 私がいる場所はどこかの建物の屋上のように見える。見渡すと、ホビーマウンテン、と書かれた看板が目に入った。 ホビーマウンテンといえば、地球に最後に残った高層ショップモールのはず。私はエリア86に辿り着けなかったのか…。さらに周りを見渡すと、離れた場所に人が一人倒れて、いま目を覚ましたところだった。「大丈夫ですか?」
原:「あ、ああ、すみません。貴女も、お怪我は?」なるべく人当りが良さそうに見えるよう、意識して柔らかい声を出しました。
青田:「(顔が良い……)特に怪我はありません。お互い無事でよかった。メーヴェで出発する前に、あなたの顔をちらっと見かけた気がします。私たち、エリア86に着けなかったのね。自分のお名前は分かりますか?わたしは青田葵と申します」
原:「ぼくは原大和といいます。観光ガイドをしたり、ツアーを企画したり……まあ、そういうことを仕事にしています」そう言って、青田さんのことを少し観察します。@GM外見からわかる青田さんの情報はどんな感じですか?
――青田さんははきはきと喋り、あなたには芯のしっかりした女性に映ります。かなり小柄です。ハイヒールを履いているので、あなたにはこの状況ではやや不安な装備に見えるかもしれません)
原:「いや、しかし困りましたね。この分じゃあメーヴェを直して飛ぶのも無理そうだ」そう言って、自分たちが不時着したビルを眺めて、「この濡れた服もまずい。ひとまず、装備を調えませんか」と提案します
青田:「なるほど。それはいいですね」と青田は賛同します。「マップを見たところ、色々な店がありますね。装備を整えつつ、脱出の手がかりを探しましょう」……ちなみに、とりあえず屋上でアイディア振ってみます?
原:あ、そうですね!「じゃあ……」考えながら、原はスポーツ用品店が入っている階の表示に目を止めます。原は元ライフセーバーで、マリンスポーツにも詳しいです。スポーツの階に何かあるか、アイディア振ってもいいですか?
――どうぞ。原さんはアイディア55ですね。
(原のアイディアロール)
原:74失敗/(^o^)\
青田:wwwwww
原:元ライフセーバーなのに……?
青田:原さんが困っているようなので、とりあえず私は館内マップを見て、「スポーツ・レジャーのコーナーにトレーニングウェアなどの衣服の替えがあるのではないか?」と提案しますw 「館内探索はそれからにしましょう。なんとかメーヴェを修理するか、メーヴェの代わり、または船の代わりになるものが見つかるといいのですが」と美女の青田は不安げに顔を曇らせます。
原:(きれいな子だなー……ああ、アイツも昔はこんな風だったんだよな……)*1
原:ち、知識振りたいですGM! スポーツコーナーにあるブランド名見て、一番いいやつを選べるかどうかで!
――了解。原さんの知識は90ですね。バカ高え
(原の知識ロール)
青田:これは行けるでしょう!
原:……47! 成功!
――では知識ロールに成功した原さん、あなたは店舗の中から特に水を弾く素材のウェアを見つけることができるでしょう。やったね!
青田:原さん、APP16の不安げな美女に希望をもたらすの巻
原:「ああ、この中なら、このメーカーのものを使うことにしましょう。耐水性も高いし、なにより温かくて丈夫です」とフロアマップを指差してにこっと微笑みます。一応年上で体育会系育ち、かつ美女相手なのでこれでもかと愛想の大盤振る舞いです。*2
青田:愛想の良い原さんの態度に青田も緊張を和ませます。「ではとりあえず、5階まで移動しましょう。ここは冷えますし」
(一同、5階に移動)
――あなたたちが5階まで来たときに下から轟音がするので確認すると、どうやら三階まで完全に沈んでいるらしいことがわかりました。加えて目に見える速度で水が増えていくので、だいたいの浸水速度も理解できたでしょう
青田:「先ほどのやりとりの間に、3Fはすっかり沈没してしまったようですね。この階ももう次に来られるか分かりません。慎重に探索しましょう」と青田はあたりを見渡します。
原:「急いだほうがよさそうだ」とつぶやいて、大和はさきほど確認したブランドのエリアに向かいます。
(二人とも濡れた服からウェアに着替える)
青田:青田はスポーツ関連の知識はあんまりないので、東大生なら賢くて目敏いやろという理由で目星45で振っても?役立ちそうなものが他にあるか
(青田の目星ロール)(この時点で水面上昇が起こり4階の半分が水没)
青田:4成功! ktkr!!
原:クリティカル?*3
――開始即クリとかいうGM泣かせwww じゃあ判定考えるのでちょっと待ってください
原:じゃあ、同時に原はラフティング用の船とか、水に直接触れずにすむアイテムが売ってるかロールしてもいいですか?
――どうぞ、アイディア55で
(原のアイディアロール)
原:85、失敗。まああの……なんてゆーか……ね?
――いいよいいよ! 積極的に失敗してこ!(ひと安心)
――さて、青田さんのクリ判定です。……青田があたりを観察すると、そこには様々なレジャー用品があることがわかった。ウェアだけでなく、登山用リュック、キャンプ用テント、折りたたみテーブルなど。また、スポーツ用品店には各種ボールやバット、シューズなどのメーカー物がたくさんおいてある。しかしよく探してみると、マリンスポーツのグッズもたくさんある中、カヌーやバナナボートなどの脱出に使えそうなものだけがない。どうやら自分たちよりも以前に立ち入ったものが持っていったらしい。……こんな感じかな。マリンスポーツのコーナーに残ってるのは浮き輪とかサーフボードとか。*4
原:@GMシュノーケリングとかの全身タイツみたいな水着でも、外の水はアウト?
――短い時間は行けるだろうけど、エリア86までは遠いのでダメですね
原:あー、遠いならそもそも体力も続かないかあ。了解!
青田:ところでGM、お買い物ポイントの使いどころはこのへん?
――あっ、そうだその説明してなかったね! プレイヤーは自分の欲しいものを手に入れるとき「お買い物ポイント」を消費します。ポイントは手に入れるもののデカさ(GMの主観です)によって決まります。……さっき手に入れたウェアもポイント消費するね
原:一番いいの選んじゃったから……
青田:いくらです?
――マイナス2かな。
原:了解、原は残り10pです
青田:青田、残り11pです。ところで、目星と知識で振ってこれということは「この階にはもうあまり目ぼしいものはない…?」(周りを見渡しながら)
原:@GM,これは多分知識でいけると思うんです。ほら、元ライフセーバーだからきっと溺れた人を救助する時に浮力がどうとかそういう知識が。なのでサーフボードに知識振ってもいいですか。(こいつイカダにできるんじゃね……?)っていう方向で!
――いいですよ!
(原が知識90でロール)
原:74よっしゃ成功! では……原はサーフボードをじっくり眺めていると、あることを思い出した。「青田さん、これ、持っていきましょう。他のところでなにか、浮力の高い桶とかそういうのがあれば、イカダにできるかもしれません。幸い、ぼくも青田さんも小柄ですし、そんなに大きいものじゃなくてもいいと思うんです」ちょうど、原の持ち物の中にはワイヤーがあります。ペンチさえあれば、問題なくイカダを作ることができそうです
青田:「なるほど。浮力の高いものとなると…」
原:(浮力の高い桶……?)←自分で言ってて意味がわからなくなっている
青田:「うーん。浮力のありそうなものがありそうと言えば、ホビーマウンテンの中では私は家具屋さんしか思いつきません。ただ、ペンチが必要なら先に4Fへ向かうべきかもしれません。半分浸水してしまっていますから、後で戻るのは難しいでしょう。」と青田は提案します。
原:あ、そっか文房具は下か! うーん。電気屋か家具屋にペンチがあるか、それぞれ幸運でロールしてもいいですか?タイミングはそれぞれの階に行った時でいいので
――いいですよ
原:じゃあダメージ覚悟で確実にペンチを取りに行くか、ダイスの女神さまにお任せするか……
(数分の思案タイム)
原:じゃあ、イカダ案思いついたのは原ですし、原が文房具階に取りに行きます! ダメージロールはどのくらいですか?*5
――CON×5の値でロールして、1/1D4ですね
原:応急手当の準備お願いします(真顔)*6
青田:手当40ですが頑張りますw
原:青田さんに、「じゃあ、急いで取ってきます。君はここに残って、他に何か使えそうなものがないか探していてくれませんか」と原は頼みます。体育会系育ちの原、ただでさえ彼女と別れたばかりなので、年下の女性に危ないことをさせたくはありません。今の彼は、女性に対してとても慎重なのです。あらゆる面で。*7
青田:「(トゥンク……)わ、わかりました。くれぐれも気をつけて行ってきてください。これでも医学生ですから、何かあっても必ず助けます。」青田は少し頰を赤らめ、申し訳なさそうに頭を下げます。
原:@GM,幸運振ってこの階にスポーツ用の医療品置いてあるかロールしてもいいですか?で、もしあったら青田さんの応急手当に補正ほしいです
――いいですよ。ただし青田さんの幸運ロールです
青田:唸れ私の幸運
(青田が幸運65でロール)
青田:39成功!
――じゃあ補正ですね。ロール成功したときの回復量がアップします。通常1D3のところ1D5!
原:では私はダメージロールをば
(原が4階に潜ってペンチを探しに行く)(原のCON×5=45ロール)(同時に水面上昇が起こり、4階が完全に水没)
原:96の致命的失敗(´^p^`)
――ファンブルなのでダメージロールが1D5+1に変化しますね*8
原:これ自動気絶*9
青田:よさげなものwww
原:良さげなものwww
青田:うーん、本屋・文房具屋で良さげなもの…? 方位磁石とか?
原:雑誌「かがくの○から」を発見した!付録の方位磁石を手に入れた! これはきっとあとでナビゲーションに補正が入りますなあ!
――う~~~~~~んわかりました! 補正で二人ともナビ+10%です
青田:やった~~!! これは大きい!
青田:では私が応急処置用品を見つけ、原さんは4→5階へ疲弊して戻ってきたということかな
――そうですね。あと、階移動が行われたので青田さんが応急手当を開始した時点で水面上昇が起こります。みなさんのいる位置は5階のスポーツ用品店なので、このままでは4階の水が上がってきて水に接触してしまいますね。
原:じ、じゃあそのままひとまずワンフロア上がります! 6階へ!
青田:原さん疲弊してるのにごめん
原:原は自身の想定よりもずっと浸水速度が速いことに気がつき、元の階に戻るとサーフボードふたつを担いで青田に声をかけました。「ひとまず上に行こう。水がすぐそこまで来てる」
青田:青田も荷物を抱えて立ち上がります。「分かりました。原さんの手当ては上の階、電気屋のフロアで…!」
――ではサーフボード・方位磁石・ペンチの分の買い物ポイントを消費します。マイナス2
原:私が払います。残り10→8です
――それから青田さん、応急処置用品の分でマイナス1
青田:残り11→10です
(一同、6階の電気屋フロアに移動)
*1:これは破局した元婚約者を踏まえての発言。まだガッツリ傷心してますね。
*2:APP15な上に紳士的な原。めっちゃ推せる……と思ってました。
*3:クリティカル。大成功のこと。正式には出目が1~5をクリティカル、所持パーセンテージの2割以下をスペシャルと呼ぶが、スペシャルを採用している卓は少ない。この卓ではスペシャルとクリティカルを一緒くたにカウントしたガバガバ判定になっている。今回は目星45の2割なので、9以下が出るとクリ扱いになる。
*4:実は今回のシナリオの正解のひとつが「5階にあるカヌーを使って脱出する」だったんですが、PLからカヌーの存在を聞かれるまでは隠しておく予定でした。しかし驚異の目星クリティカルにより、本来ならばGMはカヌーの存在を伝えなければいけません。でもそれだとシナリオここで終わっちゃうので、急遽予定を変更してカヌーを抹消したのでした。
*5:アイディアロールに失敗するのを恐れての判断ですね。ずっとアイディアに失敗してるから……
*6:原さんのCONは9。5倍しても45しかありません。成功する確率が半分以下なのでかなり厳しいですね。
*7:ここめっちゃ好きです! 原の人柄をPLが非常に丁寧に伝えてくるシーンです。GMでありながら「最高や……」とコメントしてしまいました
*8:ファンブル。致命的失敗。96以上がこれにあたります。中でも100が出ると、100ファンと呼ばれ、マジでヤバイくらいの失敗になります。道で躓いて転んだとすると、成功なら無傷、失敗ならすり傷、ファンブルなら捻挫、100ファンなら骨折、くらいですね。
*9:一度にHPが半減するようなダメージを負うとPLはショックのあまり気絶してしまう。この場合、原のHPは10なので1D5で5が出ると気絶してしまうしかねないぞ……
(原の1D5+1ロール)
原:やった! 2だけ減少です! HPが10→8
――では次は望むものを手に入れられたかどうかの幸運ロールですね
(原が幸運60でロール)
原:6、成功! クリティカルです!
青田:全GMが泣いた
――クリボーナスでなにかひとつあるよ! ペンチともうひとつ良さげなものをゲットできたようです!(ヤケクソ)((お前らそんなにクリ出したらゲームが5秒で終わってまうやろが加減せんかい!!!!! と思ってました
TRPGをした話1
先日、寂しくて寂しくて仕方なくなったので夜中にこのようなツイートを流した(下から読んでね)
すると無計画な誘いにもかかわらずこれに返事をしてくれた友人が二人いたので、彼女たちと急遽TRPGをすることになった。以下はそのセッションの結果をまとめたものである。
合言葉は原青。レツゴッ!
ゲームマスター(GM)をさせてもらうにあたり、今回は3つの試みを行った。
1.ツイッターのDMでのテキストセッション(テキセ)
2.プレイヤー(PL)同士がお互いの名前を知らないまま行う覆面セッション
3.PLが持ち物をダイスで決める持ち物ダイス
それぞれ長短あれど結構面白い効果があったのでまずはその話から。セッション内容だけ読みたい人は読み飛ばしてね。
・DMでのテキストセッション
こうするとボイスセッションと違ってガンガンキャラになりきれるな、と思った。
PLとして参加してくれたお二人の性格なのか、どちらもかなり深く感情移入してくれて、山場ではセッションというより共同執筆状態。非常に白熱した。PLからは「こんなんTRPD(テーブルトークロールプレイング同人誌)やん」という名言が飛び出す。
お二人が阿吽の呼吸でキャラを動かしていく様子。内容も最高なのであとで書くね。
長所……どんなになりきったセリフでもペロッと言えちゃう
短所……どうしても時間がかかる
本気でやるととんでもないドラマが生まれるので、参加者の時間に余裕があるならまたやりたいと思った方法。
シナリオによっては不向きなのもあるかな。クトゥルフや戦闘アリのシナリオだと、ボイセのほうが展開がサクサク進んでいいかもしれない。シティ系シナリオやPL同士のやりとりが濃いシナリオ(PLで人狼ゲームをする、とかですね)にはいいんじゃないかな。知らんけど。
・覆面セッション
PL同士がミリしら状態だったので今回とった手段。
どうせ初対面ならいっそ一期一会にしちゃえ! ということで、お二人には事前にTRPG用のキャラなりきりアカウントを作ってもらった。真名封印、セッションはキャラ垢同士で行ってもらう。
旅の恥はかき捨てなのか、お二人とも非常にノリノリ。
(アイコン・ヘッダーの借用元)
実際になりきりツイートなども投稿されていた。いとリアル。気合が5000%なのかよ。ここまで徹底的にしてくれるとGMにも気合が入った。ありがとう。
DMでも小説ばりの作り込みでキャラを動かすのでシナリオが食われる。これはとんでもない方法やで。
テキセと組み合わせるとより強力な技(業)になる。
ぜひまたやりたい、っていうか基本オンラインでやるときは覆面にしようかなって思うくらい楽しかった。
DMでやりとりをする傍ら、PLたちがツイートで「この流れやばくないか?」「うそやろ!?」などとコメントしているのも、舞台裏で相談してるみたいで面白い。
お互い面識がある人同士でも、この方法だと恥ずかしがらずにロールプレイできていいかもね。GMが別個に声をかけて招集して、あとで真名ばらしてもいいし。ばらさなくてもいい。
長所……お互い匿名なのでなんとなく気軽(やってみたPLいわく)
短所……ボイセだと声とかでバレてやりにくいかも(特にPLたちが知り合いの場合)
・持ち物ダイス
名詞と連体修飾語をそれぞれダイスで決めて、その組み合わせで持ち物を決める方法。
持ち物ってPLが考えるとどうしても有用なものばかりになっちゃうので、そこをもう少し一波乱というか、面白くできないかなと思って自分でダイスを用意した。
試運転なのでまだまだ語数が少ないんだけど、それでもかなりバラエティに富む結果になる。
使い方は、
1.上の表から、1D300でロールする
2.下の表から1D70でロールする
3.それらを組み合わせて「どうしてこのキャラはそれを持っているのか」のバックグラウンドまで想像する
の3ステップ。試しにやってみると、
1.上のロールの結果、 206「やかん」が出た
2.下のロールの結果、2「脆い」が出た
3.脆いやかん。脆いということは今にも取っ手がとれそうなほど古いのかもしれない。かなり年季の入ったやかんを持っているようだ。ということはおそらく自宅で使っているものだろう。なんとなく、関西弁の長女気質な女の子が想像できる。セッションの途中で女の子が絶望するときの比喩として、「やかんの取っ手がとれて中身が溢れる」ということがあるかもしれない。
こんな感じだ。
キャラの設定を作り込むのってどうしていいかわかんない! とか、持ち物っていつもマンネリ化して飽きる~とかいう人は適当に利用してどうぞ。自分が考えたってことにしなきゃ自由に使ってもらっていいので。
使った感想とか言われると喜びます。
今回のセッションでも、要所要所で持ち物が伏線の一部になったりならなかったりしている。次回以降もレギュラーオプションにしたい。
長所……持ち物がバラけて面白い
短所……ダイス運によっては使い途のない道具ばかりになるかも
私は上記の短所を解消するために、ダイスで決めた持ち物に加えて各PLひとつずつ、自分の好きな持ち物を加えてもらう方法にしました。
はい。というわけでGMとしての試みの話は終わりだ。ここから先はお待ちかね、セッションの内容について書いていく。
登場人物紹介
・原 大和(38)
STR13・CON9・SIZ11・DEX10・APP15・INT11・POW12・EDU18
アイディア55・幸運60・知識90
HP10・買い物ポイント(シナリオ独自ルール)12
応急手当60・水泳65・操縦30・ナビゲート21
持ち物:鋭いワイヤー・古いドライバー・黄色い指輪・ロケットペンダント
容姿端麗、教養カンストとかいうバケモンステータス。年齢のせいか、体力・筋力・俊敏性は高くない。
学生時代からずっとライフセーバーをしていたので、水泳と応急手当は慣れたもの。最近は体力の衰えを感じ引退。企画兼ガイドとして親族の観光関係の会社で働いている。最近彼女と破局した。中の人曰く「精神がDT」
・青田 葵(22)
STR11・CON12・SIZ9・DEX14・APP16・INT10・POW13・EDU18
アイディア50・幸運65・知識90
HP11・買い物ポイント13
目星45・医学25・ナビゲート20・マーシャルアーツ21・他の言語16・応急手当40・水泳30
持ち物:小さい数珠・珍しいジョウロ・古いハイヒール・メリケンサック
容姿端麗、教養カンストとかいうバケモンステータス(またかよ)。持久力と俊敏性は高いが、筋力自体はあまりない。非常に小柄。
名門大学医学部に通う女子大生。頭がいいが天才ではなく努力型。大学のサークルで空手を嗜んでいる。運動は全般的に得意。
シナリオ
今回使ったのは私が前日に用意したオリジナルシナリオ『エリア86へゆけ!』。タイトルはゲームブックでお馴染みの合言葉「14へいけ」をもじってつけた。
一夜漬けなので非常に穴が多い、もとい自由度が高い設計になっている。PLに世界観を聞かれた時は(え、なにそれ全然考えてない……まあええわ今つけ足しとこ……)みたいなことばかりしていた。
あらすじ
数年前から地球の海面は異常な速度で上昇していた。米国の調査の結果、以下の報告が上がった。
「大西洋のとあるプレートの隙間から水が噴き出しており、海面を上昇させている。原因不明だが、まるで4次元から水を取り寄せているかのようにそれは尽きる気配がない。水はどんどん地球上を満たし、このままでは数年以内に全大陸が水の底に沈むだろう」
というわけで人類はすぐさま手を組み火星移住化計画を発動。いくつもの奇跡が起きて火星を居住可能惑星へとメイクアップすることに成功した。
ようやく庶民に移住ロケットの順番が回ってくる頃には世界中の都市のほぼすべてが水没していた。配給されたロケット搭乗用チケットを握りしめ、人々は我先にと搭乗口のあるエリア86へと向かっていた。
人工的な高台以外ほぼ全てが水に覆われた今、エリア間の移動には船かメーヴェ(ナウシカが乗るやつ)を利用するしかない。ところが。
PLたちがメーヴェを使って雁の群れのように飛行していると、突如ゲリラ豪雨に見舞われた。大雨と強風の中飛び続けることができず、ひとり、またひとりと水に落ちていく。PLたちはそれぞれ必死にハンドルを切り、地球最後の高層ショッピングモール『ホビーマウンテン』の屋上に降り立ったのだった。
てかごめん内容とかいうたけど眠いからここまでで寝るわ
続きは明日 おやすみ
私とサムライとチャンプルー
ポイントは三つだ。
古今東西どのようなプレゼンもその言葉で始めるといいらしい。なので私も例に習う。
人生には、尊ぶべき3つのサがある。
1つ目は翼。
飛べない人生に意味などないのだから。
2つ目はエスペランサ。
キリシタン語で希望のことらしい。よく分からんけど希望はいいよね。明るい未来に就職エスペランサ。
そして3つ目は
かっこよさ!!!!!!!!!!!!!
さあ、ここからが本題である。
翼がどうとかエスペラーだとか愛してるって最近言わないだとかは全部忘れてくれて構わん。あんなもの、かっこよさの前ではただのペロペロキャンディだ。
かっこいいって、最強なのである。
古来よりかっこいいだけのものはたくさんある。
隙だらけの変身シーン。
関節曲がっとるやろと思う決めポーズ。
確実に使いにくいのに義手をフックにしちゃう船長。
これらが最高であることに異論はないかと思う。かっこいいだけで特に意味もないが、なにせかっこいいので。最高なのだ。それだけで彼らは存在を許されている。愛されている。
つまりかっこいいとは!!! 最強なのだ!!!
私が今からぶちまけたいのはそんな世にある数多のかっこよさのひとつの具現、ロックが通って道理が引っ込む袈裟斬りアニメーション、そうすなわち
サムライチャンプルーの、プレゼンだ。
ここ数日私が毎日ツイッターで叫び散らしていたので、温情を知るフォロワーならば1度はサムライチャンプルー(サムチャン)について調べてくれたかと思う。ありがとう。
しかし一方でまだサムチャンについて一切の知識を持たない者、あなたたちにも私は語りかけたい。こんにちはしたい。
そこで(もちろんググってくれるとわかりやすくキャラ説明からあらすじからネタバレからチャカポコと出てくるのだが)とりあえず基礎情報を下に簡単に書いておく。感想はそのあとだ。
レツゴッ!
サムライチャンプルーは、尋ね人を探して女1人と男2人が日本中を旅する、江戸時代が舞台の紀行アニメだ。
女の名前はフウ、男たちの名前はムゲンとジンという。
フウはしっかり者で活発、
ムゲンは無精髭で短気、
ジンは冷静沈着メガネ、
だいたいそんな感じだ。
あと個人的に最高無敵なポイントがある。ツイートの下書きに残してたのでそれをそのまま貼ると、
この男2人はめっっっっっっっっっっっっったに人の名前を呼ばなくて、おい、とかあの男、とか言うんだけど、たまに静かな声で本人のいないところで名前を呼んだりするわけよ。わけよ。よ。よよよ……。
なるほど。アニメを見てる途中の私が言うんだから間違いない。間違いないよよよよ。
説明終わり。
フウはムゲンとジンを用心棒に旅をしているが、用心棒と言われるだけあってこの男たち、マジにグレート。どちらも一騎当千の化け物級だ。
これがかっこよみポイントその1。
向かってくる敵はバッサバッサと斬り倒し、向かってこない敵にも喧嘩を売る。戦意喪失した相手も殺す。とにかく非情だ。生ぬるい同情なんて一切ない。怨恨を残さない。江戸時代では金のないやつと敗れた奴は必ず死ぬのだ。
レ・ミゼラブル。
その代わりこいつら2人もめちゃくちゃ斬られる。敵もグレートなので。かすり傷なんてレベルではない。腹だ。腹を狙われる。足の腱とかもやばい。しかし傷の回復もやばい。こいつら不死身だ。全盛期のセルみたいな無敵感がある。かっこいい!!!!!! かっこいいぞ!!!!!!! 強さはエロさだそれが東の国の法!!!!!!!!
違う。
かっこよみポイントその2は妖艶な女だ。東の国の法ではないがエロさが魅力であることはマジだ。
そういうわけでこのアニメ、花街がしょっちゅう出てくる。
ジンが花魁に恋をする話、フウが吉原に連れていかれる話、ムゲンが花街で陰謀に巻き込まれる話……と、とにかくすごい頻度で出てくる。全26話中5話くらいは花街メインだ。花街定期である。
あと花魁じゃない女も妖艶だ。ネタバレになるので伏せるが女がめちゃくちゃ妖艶なのだ。ダメだ伏せると妖艶しか言えない。妖艶なんだよ!!!!!!!! 見て
はい。
最後のかっこよみポイントだ。これがサビだ。耳の穴をミートボールくらいのデカさにしてちこう寄れ。
──殺陣のシーンの凝り方──
半端ないんだ。本気で。
往来で切りあった2人がダダダッと茶屋に駆け込む
茶屋ののれんがはらりと斜めに斬られて落ちる
店の中で走り回る2人
6人がけの机がガタガタと揺れる
河原で走ると僅かに砂利に足がとられる
水面に刀をすばやく走らせると水しぶきが円形に立つ
水に濡れた髪がいつまでも乾かずに重たい
数時間前に刺された傷と数分前に刺された傷の、滲む血の色の赤さが違う
水中戦で刀を振り回すと動きが鈍る
切られて水に血が混じる
どちらかが心臓を刺される
上空から見た 水中から血が立ち上るカット……
とにかく殺陣のこだわりがものすごいのだ。
原画5兆枚かつ予算2億かつ制作期間10年? てくらい丁寧。本能にパンチされる。画面が私に叫ぶ。
見ろ! これがアニメーションだ!
ほんとはね、こんな細かい演出しなくても誰も文句言わねえじゃん。切られた布が落ちるときに風をはらんで舞う、そんな1秒にこだわっても意味ねえよ。意味ねえんだよ。
でもこのアニメはそこを捨てなかった。最初から最後までそこにこだわった。
俺たちのこだわりはここ、旗はここに立てたと。
そして届いた。
私は見た、泣いた、ならば次は震えるだけのこと──クロウト・デース!
かっこいいよ。
という感じだ全体的に。以上でかっこよみポイントの話は終わり。サムチャン見てくださいね。
以下アニメ見ててたまらんかったとこを発散します。見なくてもいいです。
あ〜〜〜マジにやべかったよ最終回。全部最高だ。もう。全秒。すべてが!
常に画面がノリノリ、唐突に始まる乱闘、まるで一曲のヒップホップ。目まぐるしい展開で飽きの来ない全26話。どの話もロックで怒涛で面白さの原液が3リットルずつ注ぎ込まれている。目を離すな。もう始まっているのだ!
(?)
てかこいつら戦いすぎ。殺らなきゃ殺られるってどんなストロングゼロだよ。クラクラする。
やばすぎてツイートの下書きに「体がぐでたま、心KIRIMIちゃん」てあるよ。意味わかんねえよ。骨抜きになりすぎ。
ラスト3話ヤバすぎて呼吸不可。3話で上・中・下になってんだけど、もう上の時点で空気が最終回。魔王城に入る前の最後のキャンプみたいなシーンがある。しんみりとした空気の中今までの旅のこととか話しちゃう。やべえよもう泣いちまうから。
上の感想
永遠などないのか!? 気持ちに嘘はつけない……
中の感想
永遠などない。お前が助けにいけ!
下の感想
みんな死ぬ
みんな死ぬ。
おしまい。