私とサムライとチャンプルー

ポイントは三つだ。
古今東西どのようなプレゼンもその言葉で始めるといいらしい。なので私も例に習う。
人生には、尊ぶべき3つのサがある。


1つ目は翼。
飛べない人生に意味などないのだから。


2つ目はエスペランサ。
キリシタン語で希望のことらしい。よく分からんけど希望はいいよね。明るい未来に就職エスペランサ。


そして3つ目は





かっこよさ!!!!!!!!!!!!!





さあ、ここからが本題である。

翼がどうとかエスペラーだとか愛してるって最近言わないだとかは全部忘れてくれて構わん。あんなもの、かっこよさの前ではただのペロペロキャンディだ。

かっこいいって、最強なのである。

古来よりかっこいいだけのものはたくさんある。

隙だらけの変身シーン。
関節曲がっとるやろと思う決めポーズ。
確実に使いにくいのに義手をフックにしちゃう船長。

これらが最高であることに異論はないかと思う。かっこいいだけで特に意味もないが、なにせかっこいいので。最高なのだ。それだけで彼らは存在を許されている。愛されている。

つまりかっこいいとは!!! 最強なのだ!!!

私が今からぶちまけたいのはそんな世にある数多のかっこよさのひとつの具現、ロックが通って道理が引っ込む袈裟斬りアニメーション、そうすなわち



サムライチャンプルーの、プレゼンだ。



ここ数日私が毎日ツイッターで叫び散らしていたので、温情を知るフォロワーならば1度はサムライチャンプルー(サムチャン)について調べてくれたかと思う。ありがとう。

しかし一方でまだサムチャンについて一切の知識を持たない者、あなたたちにも私は語りかけたい。こんにちはしたい。
そこで(もちろんググってくれるとわかりやすくキャラ説明からあらすじからネタバレからチャカポコと出てくるのだが)とりあえず基礎情報を下に簡単に書いておく。感想はそのあとだ。

レツゴッ!






サムライチャンプルーは、尋ね人を探して女1人と男2人が日本中を旅する、江戸時代が舞台の紀行アニメだ。
女の名前はフウ、男たちの名前はムゲンとジンという。

フウはしっかり者で活発、
ムゲンは無精髭で短気、
ジンは冷静沈着メガネ、

だいたいそんな感じだ。

あと個人的に最高無敵なポイントがある。ツイートの下書きに残してたのでそれをそのまま貼ると、

この男2人はめっっっっっっっっっっっっったに人の名前を呼ばなくて、おい、とかあの男、とか言うんだけど、たまに静かな声で本人のいないところで名前を呼んだりするわけよ。わけよ。よ。よよよ……。

なるほど。アニメを見てる途中の私が言うんだから間違いない。間違いないよよよよ。

説明終わり。



フウはムゲンとジンを用心棒に旅をしているが、用心棒と言われるだけあってこの男たち、マジにグレート。どちらも一騎当千の化け物級だ。
これがかっこよみポイントその1。

向かってくる敵はバッサバッサと斬り倒し、向かってこない敵にも喧嘩を売る。戦意喪失した相手も殺す。とにかく非情だ。生ぬるい同情なんて一切ない。怨恨を残さない。江戸時代では金のないやつと敗れた奴は必ず死ぬのだ。
レ・ミゼラブル
その代わりこいつら2人もめちゃくちゃ斬られる。敵もグレートなので。かすり傷なんてレベルではない。腹だ。腹を狙われる。足の腱とかもやばい。しかし傷の回復もやばい。こいつら不死身だ。全盛期のセルみたいな無敵感がある。かっこいい!!!!!! かっこいいぞ!!!!!!! 強さはエロさだそれが東の国の法!!!!!!!!


違う。


かっこよみポイントその2は妖艶な女だ。東の国の法ではないがエロさが魅力であることはマジだ。
そういうわけでこのアニメ、花街がしょっちゅう出てくる。
ジンが花魁に恋をする話、フウが吉原に連れていかれる話、ムゲンが花街で陰謀に巻き込まれる話……と、とにかくすごい頻度で出てくる。全26話中5話くらいは花街メインだ。花街定期である。
あと花魁じゃない女も妖艶だ。ネタバレになるので伏せるが女がめちゃくちゃ妖艶なのだ。ダメだ伏せると妖艶しか言えない。妖艶なんだよ!!!!!!!! 見て


はい。


最後のかっこよみポイントだ。これがサビだ。耳の穴をミートボールくらいのデカさにしてちこう寄れ。





──殺陣のシーンの凝り方──



半端ないんだ。本気で。



往来で切りあった2人がダダダッと茶屋に駆け込む
茶屋ののれんがはらりと斜めに斬られて落ちる
店の中で走り回る2人
6人がけの机がガタガタと揺れる


河原で走ると僅かに砂利に足がとられる
水面に刀をすばやく走らせると水しぶきが円形に立つ
水に濡れた髪がいつまでも乾かずに重たい


数時間前に刺された傷と数分前に刺された傷の、滲む血の色の赤さが違う


水中戦で刀を振り回すと動きが鈍る
切られて水に血が混じる
どちらかが心臓を刺される
上空から見た 水中から血が立ち上るカット……


とにかく殺陣のこだわりがものすごいのだ。

原画5兆枚かつ予算2億かつ制作期間10年? てくらい丁寧。本能にパンチされる。画面が私に叫ぶ。

見ろ! これがアニメーションだ!


ほんとはね、こんな細かい演出しなくても誰も文句言わねえじゃん。切られた布が落ちるときに風をはらんで舞う、そんな1秒にこだわっても意味ねえよ。意味ねえんだよ。
でもこのアニメはそこを捨てなかった。最初から最後までそこにこだわった。
俺たちのこだわりはここ、旗はここに立てたと。

そして届いた。

私は見た、泣いた、ならば次は震えるだけのこと──クロウト・デース!  


かっこいいよ。




という感じだ全体的に。以上でかっこよみポイントの話は終わり。サムチャン見てくださいね。

以下アニメ見ててたまらんかったとこを発散します。見なくてもいいです。







あ〜〜〜マジにやべかったよ最終回。全部最高だ。もう。全秒。すべてが!

常に画面がノリノリ、唐突に始まる乱闘、まるで一曲のヒップホップ。目まぐるしい展開で飽きの来ない全26話。どの話もロックで怒涛で面白さの原液が3リットルずつ注ぎ込まれている。目を離すな。もう始まっているのだ!

(?)

てかこいつら戦いすぎ。殺らなきゃ殺られるってどんなストロングゼロだよ。クラクラする。
やばすぎてツイートの下書きに「体がぐでたま、心KIRIMIちゃん」てあるよ。意味わかんねえよ。骨抜きになりすぎ。


ラスト3話ヤバすぎて呼吸不可。3話で上・中・下になってんだけど、もう上の時点で空気が最終回。魔王城に入る前の最後のキャンプみたいなシーンがある。しんみりとした空気の中今までの旅のこととか話しちゃう。やべえよもう泣いちまうから。

上の感想
永遠などないのか!? 気持ちに嘘はつけない……

中の感想
永遠などない。お前が助けにいけ!

下の感想
みんな死ぬ



みんな死ぬ。

おしまい。